電子回路の設計です。
電子回路の見方でなく、設計です。
見方と設計では、受動と能動で、全く逆の関係です。
電子回路の見方は、豆知識で
「5.電子回路の勉強の仕方」
「15.回路図の読み方」
「古代にもどる電子学(電子回路の、勉強の仕方 PART2)」
でも解説しているので、参考にして下さい。
ここでの電子回路の設計は、好きなものが作れる、電子工作レベルのお話です。
(企業レベルの電子回路設計は、専門学校、大学、研究所にいって教わって下さいね)。
電子工作レベルで好きなものを設計する場合、何を作るのか、明確にします。
← これをつくります!
例えば、
サーバーおちると、警報機が鳴り、パソコン及び携帯電話にメールが飛んで知らせるものを作りたいとします。
このやりたい事を、電子回路の見方と同じで、ブロック単位に分解します。
@サーバーがおちるのを監視する。
↓
A警報機が鳴る。
↓
Bパソコン、携帯にメールが飛ぶ。
実現させるには、この3つの仕事が必要です。
@のサーバーがおちるのを監視する方法ですが、サーバに向かってpingをうちます。
pingとは、例えば、Windowsパソコンについている、ドスプロンプトのアプリケーションで、「ping yahoo,co.jp」 とうって、リターンキーを押すと、ヤフーのサーバが動いていると、動いているよ!という結果が返ってきます。
逆に、サーバがダウンしていると、動いていないよ!という結果が返ってきます。
この事を利用して、サーバへpingをうち、動いてないよ!という答えが返ってきたら、
パソコンのUSBポートに信号を出力し、メールソフトを立ち上げ、アラームメールをおくる
という、プログラムを作ります。
ここで難しいのは、パソコンのUSBポートに信号をおくることです。
USBポートの何番ピンを信号として利用し、このピンに何々をし、............と、電子工作をしても良いのですが、とても難しく、調べるだけでも一苦労です。
最近の電子工作のお店では、このような難しい部分は、モジュールとして売っています。
モジュールの説明は、ここを見てね。
具体的な商品名は USB−I/O で、パソコンの信号を、USBへ入出力してくれます。
このモジュールは、外付け部品は入りませんが、モジュールによっては、コンデンサを付けてくださいとか、抵抗をつけて下さいなど、説明書に書かれているので、そのとおり接続(設計)します。
余談ですが、ラジオICやアンプICなど、メーカーが外付けでコンデンサや抵抗をつけて使用するように、データシートに記載されていますが、「何でコンデンサや抵抗をつけるんだ?」と追求すると、ICの内部構造になり、部品を使うだけなのに時間がかかってしまうので、電子工作ではそこまで意識しないほうが良いです。
素直に
メーカーさんに言われたとおり接続(設計)してくださいね。
さらに余談ですが、555IC、コンパレーター、オペアンプなども、何でここに抵抗をつけるのか?なぜこの値なの?と、考えてしまうと、「古代にもどる電子学(電子回路の、勉強の仕方 PART2)」 に記載されているように、全く前に進まなくなってしまうので、過去に先輩方が考えてくれた回路を、そのまま覚えてしまいましょう。
さらにさらに余談ですが、先輩方が考えてくれた回路も、実験をして失敗の上で決まった値も少なくありません。
回路設計と言うと、計算式でスラスラ決めていくイメージがありますが、実際は結構泥臭くて、試作回路で実験してから、計算式を使って、理屈を整えていくことも少なくありません。
計算式で決めていくのも1つの方法ですが、電子工作レベルでは、てもとにある部品を利用しブレッドボードを使って、実験で値を決めていったほうが早く開発できます。
Aの警報機が鳴るですが、パソコンからUSB−I/Oの端子を、ハイレベル(5V)になるように、プログラムします。
5Vでは、100Vの警報機を鳴らすことができないので、リレーを使うことにします。
リレーによって、3Vで起動するものしか手元にない場合があります。
その場合は、5Vを3Vにさげてあげましょう。
レギュレターを取り付けても良いのですが、お値段の安い抵抗で下げてあげます。
ここで初めてオームの法則のV=IRを利用します。
今回は、そのままつかえるので、手を加えていません。
リレーに、パトランプを取り付ければ、パトランプが回転して光ります。
パトランプは光るだけなので、次に、警報音をつくります。
これもUSB−I/Oの端子にブザーを取り付けるだけ。
後はパソコンから、ブザーがついている、USB−I/Oの端子に向かって、ハイレベルとローベルを繰り返すプログラムをします。
(音を作るには、圧電素子に、ハイとローを繰り返し振動させて、作ります。)

Bの「パソコン、携帯にメールが飛ぶ」ですが、これは@のサーバがおちた時にUSB−I/O端子をハイにするプログラムと一緒に、メールソフトを立ち上げて、メールを飛ばすプログラムをします。
電子工作として、特に工作する必要はありません。
それで出来上がったのが、これです。
電子工作の回路設計と言うよりは、モジュールを組み合わせて作ったシステムですね。
センサー部分(動くきっかけの部分、難しい言葉でトリガー)が、パソコンのpingエラーで、その後もハイとローだけなので、デジタル回路設計をしたことになります。
このようにデジタル回路の設計は、電子工作のアナログ回路が分からなくても設計することができ、モジュールの種類を知っていることと、そのモジュールの使い方を知っていることが、重要なことがわかります。
今回は、パソコンを利用していますが、pingとメール送信してくれるマイコンチップを使えば、低価格でコンパクトに作れます。

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