電子工作の書籍には、初心者向けに、LEDがピコピコ交互に光るキットが良く紹介されています。
この回路は「無安定マルチバイブレータ」と言われる回路で、部品点数が少なく、初心者にはうってつけの工作です。
私も最初は、書籍に書いてあるとおり、部品を集め、ハンダ付けし、回路を作りました。
(最近では、すべてがそろったキットも発売されています。)
イモハンダや、配線間違いがなければ、問題なくLEDがピコピコ点滅します。 |
店長 バババ博士 |
自分が作ったものが動く瞬間は、とても嬉しいものです。
しかし動く事は動くのですが、ちゃんと動いても、なぜLEDがピコピコ光るのか分かりません。
マニュアルの回路図をじっくり見ても、全く分かりません。
回路図に記載されているトランジスタや、コンデンサーについて勉強して理解しても、なぜ「ピコピコ光る」のか、理解できません。
色々な本を参考にするのですが、分かりません。
なぜ、ピコピコするのでしょうか?
なぜ分からないのでしょうか?
経験からお話すると、初心者向けの本では、回路が理解できるようにはなりませんでした。
電子工作をご趣味にされている方や、仕事にされている方が、周りにいる恵まれた方以外では、初心者向けの本では理解できるようにはなれません。
初心者向けの本が悪い訳ではなく、初心者は回路の仕組みが理解できるまでの基礎知識が、圧倒的に不足しているため、回路を理解させる事に無理があるのです。
そのため、本ではあえて回路が動くしくみを説明しないのです。
(もちろん、動く仕組みを詳細に説明している本もありますが、初心者がその本を探す事はとても難しいです。難しくなかったら、その人はもう、初心者ではありませんから。)
それでは、初心者が回路を理解できる本は何処にあるのでしょうか?
答えは、大学で使う教科書の中にありました。
しかし、このような本はとっつき難く、初心者が簡単に理解できる本ではありません。
読んでいて、眠くなる本です。
頑張って読めば、必ず良いことが起こるのですが、そこまでなかなか一般の方は到達できません。
ここら辺の話は、こちらに詳しく書かれています。
私が色々作って感じたことは、
「初心者でも、回路が理解できるキットは無いのか?」
という事です。
学研の電子ブロックなど、素晴らしい教育教材もありますが、学研の電子ブロックをいくら作っても、回路は理解できませんでした。(私だけかも。)
当然です。
生で部品を触っていないため、部品独自の感触や匂いが体験できず、電子工作のカンが養えないからです。
この野生的かんは、理系ではとても大切で、このくらいの電圧だとマズくなるなど、本やパソコンの擬似体験では絶対に養えないものです。
そこで得た結論は、
「
初心者が作って、回路が理解できるようになる電子キットは無い!」
と言うことです。
初心者の悩みは、大きく分けて2つです。
1つ目は、キットを作っても、回路の仕組みが分からないということです。
説明書に、回路のしくみが記載されていないため、仕方ないことです。
2つ目は、部品の調達です。
初心者にとって、電子部品を集めることが一苦労です。
まず、売っている場所が分かりません。
東京近郊に住んでいる方なら、秋葉原へ行けば購入できます。
しかし、数千個の中から、どの部品を購入してよいのか分かりません。
これは、インターネットでも同じで、購買サイトから部品を購入しようにも、どの部品を購入したら良いのか分からないのと同じです。
部品調達のお話は、ここにもヒントを書いておきました。
「初心者が電子回路を理解出来るようになるには、この2つのハードルをクリアする必要があります。」
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初心の悩みは、大きくわけて2つ。
回路の理解と、部品の調達です。
1つ目の回路の理解は、電子キット(本キット)の組立説明書には、組立方法以外にも、回路が動く仕組みを記載してます。
例えば、無安定マルチバイブレータのキットの場合、次のように回路が動く仕組みが記載されています。
このような内容は、初心者向けの本には、まず書かれていません。
大学の電子回路のような本の内容です。
難しい内容ですが、順を追って読んでいけば、初心者でも理解することができるように、工夫して書いてあります。
(ただし、必要最小限の電子部品の知識は最初に理解しておいて下さい。そうでないと、理解は難しいかもしれません。)
そのため、回路がブラックボックでなくなります。
読みやすいよう、原則A4サイズでコンパクトに読めるようにしてあります。
また、回路図や部品も掲載されていますので、A4サイズのクリアフォルダーで保管すれば、回路図集としてご利用いただけます。
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■豆知識として、電子回路の仕組みが詳細に記載されています。(表面を一部拡大)
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A4サイズ 表面 |
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A4サイズ 裏面 |
キットの説明も記載。
豆知識として、電子回路が動く仕組みを記載。
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部品図、 電子回路図、自体配線図などを記載。
※キットによっては、内容が違います。 |
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もうひとつの悩みは、部品調達です。
これはキット化させることで解決できます。
初心者のうちは、部品の形さえ分からないことが普通なので、キットを見て、部品に慣れてください。
電子キット(本キット)の部品表には、絵で部品が記載しているので、安心です。
さらに、部品の品番も書かれているので、ご自身で、インターネットで検索し、購入することも可能です。
色々な部品がありますが、最初は、説明書に記載されている品番の部品(代表的な部品ばかりです)を購入し、部品に慣れて下さい。
多くのキットでは、電子部品と基板をセットにして、キット販売しています。
電子キット(本キット)では、これ以外にも、ケースもつけています。
ケースは大切で、出来上がりの見栄えを良くする働き以外にも、配線を保護する働きがあります。
さらに、初心者のうちからケースの意識を持つ事は、配線をコンパクトにまとめる意識を知らずに高めることができるようになります。
本キットで使用するケースも、並べた時に統一感がもてるように、できるだけ同じケースを使用するようにしています。
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ケースが付属しています。
見栄えの他に、配線保護の目的もありますので、必ず取り付けて下さいね。 |
本キットにも、欠点があります。
キットを作り上げるのに、時間がかかることです。
本キットでは、回路の理解を助けるために、ユニバーサル基板を使用しています。
そのため、プリント基板のように配線がされていないため、自分でジャンパー線を使って、電子回路図を見て、部品同士を配線する必要があります。
電子回路を作るためには、当然の作業なのですが、「部品だけハンダ付けして終わり」というキットになれてしまっている方には、わずらわしい作業になると思います。
実は、この作業が一番勉強になり、
電子回路図を見る訓練になり、さらに部品に触れることにより、部品を理解する作業となります。
さらに、今後自分独自のものを作る際、この知識と技術がなければ作れませんので、必ず身に着けて下さい。
大変ですが、ぜひ、ぜひ、頑張って、作り終えて下さいね。
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これがユニバーサル基板です。
プリント基板のように、配線されていませんので、ご自身でジャンパー線などを利用して配線します。 |
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