小さな信号を大きくするオペアンプ。
オペアンプの中でも有名なICの一つ、741のキットを作りました。
前にご紹介した、ディスクリート部品で555を作ったキットの姉妹品です。
今回の目的はただ一つ、位相補償のコンデンサを取り、発振現象を観察することです。
オペアンプの反転増幅回路では、負帰還させて増幅します。
そのため位相がずれた信号を帰還させると、位相がずれてしまい、発振と呼ばれる現象(波が汚く増幅される)が生じます。
これを避けるために、741はコンデンサを内部に持たせ、位相をずらさないようにしています。
昔のオペアンプ(709、709C、301A、308など)では、外付けでコンデンサをつけていたのですが、741は内部に持たせたことで、一躍有名になりました。
そのコンデンサを取れば、発振し易くなるので、今回はコンデンサを取り、発振させてみました。
ちなみに、なんでこんな無意味な実験をするかと言うと、オペアンプ授業の中で、位相補償にコンデンサは大切!と言うことを、生徒さんに実験させたかったからです。

555と同様に、1時間くらいで簡単に作り終えました。
基板表面の記載では、4つのブロックからなりたっています。
写真左から、次の通りです。
差動増幅回路 (DIFFERENTIAL AMPLIFIER)
バイアスジェネレータ回路
(BIAS GENERATOR) : 基準電流を作っている回路
増幅回路 (GAIN STAGE)
出力回路 (OUTPUT STAGE)
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パーツです |
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説明書は、英語です。 |
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開け難いパッケージです |
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パッケージ裏 |
【実験】

こんな感じで、反転増幅回路(増幅度は10倍)を作ります。
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位相補償のコンデンサ33pFを、抜き差し出来るようにしています。 |
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ジャンパー線でノイズを入れます。 |
発振させるため、コンデンサは抜き差しできるように、ソケットをつけました。
また、ジャンパー線を挿し込んで、ノイズを入れたりしています。
色々やった結果、最初は発振しなかったのですが、運が良い(コンデンサを抜いて基板表面を触って離した時)と発振しました。
発振の再現性はなく、なかなか発振しないので、「コンデンサは位相補償の役割をする」教材としては、使い難い結果に終わりました。

古いオペアンプLM301Aを使い、同じ実験をしてみました。
LM301Aは、外付けで位相補償のコンデンサが必要なオペアンプです。
実験の様子は、写真のとおりです。
位相補償のコンデンサを抜くと、あっさり発振しました。



(2020年7月7日(火)作成) |