科学教材社の、スパイターゲルマラジオを作りました。
インターネットラジオでラジオを聞く時代(もはやラジオと呼べませんが)、今さら、なんで無線のラジオ?と疑問に思うと思います。
おおやけにしていませんが、実は当店、子供の電子工作塾を、週二回ペースで、個別にやっています。
子供だけど、子供の電子工作教室では簡単すぎ、大人のセミナーはついていけない、優秀なお子様向けです。
その子供用の塾教材として、「科学教材社 スパイダーゲルマラジオ」を作りました。

昭和を感じさせる、レトロ感が良いですね。

スパイダーコイルやラグ板が、たまりません。

説明書は、2つのキットに対応出来るよう、共通利用していました。
このキットの特徴は、スパイダーコイルです。
スパイダーコイルを自分で作るので、コイル制作を実体験する教材としては、最適です(塾もこれが目的です)。
作り方は、スパイダーコイル枠に、20回巻いた後タップを作り、さらに50回巻くと完成です(巻き終わるのに、50分くらいかかりました)。
巻いた回数を忘れてしまうので、正の字書きながら巻くと良いです。

名前どおり、くもの巣みたいですね。
コイルなので、インダクタンスを測ってみました。
70回巻いた巻き終わりは、0.258mH (マザーツール社 デジタルLCRメータ 【LCR-9063】 測定周波数:250Hz で測定)でした。
ちゃんと、コイルになってます。
70回巻いたコイルのインダクタンス = 0.258mH
説明書には、ポリバリコンの容量が書いていないので実測すると、「最小16pF、最大280pF」でした。
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ポリバリコン 最小16pF |
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ポリバリコン 最大280pF |
このキットの共振周波数を求めると、
最小 f = 1÷(2Π√LC) = 1÷(2×3.14×√0.258mH×280pF) = 592449Hz ≒ 592.4kHz
最大 f = 1÷(2Π√LC) = 1÷(2×3.14×√0.258mH×16pF) = 2478394Hz ≒ 2478.3kHz
592.4kHz〜2478.3kHzまでのラジオ局と、同調できる事が分かりました。
20回巻いたタップも、測定します。
0.06mH (LCRメーターの測定周波数250Hz時)と、小さな値です。
20回巻いたコイルのインダクタンス = 0.06mH
参考までに、タップをつけないで巻いた、スパイダーコイルを別に作り、測ってみました。

タップ無しの、スパイダーコイルのインダクタンス = 0.268mH
ほとんど、タップあり(0.258mH)と変わりませんね。
作ったキットは、角がとがっているので、ヤスリで丸くしておきました。
エナメル線の先は磨いておかないと、電気が通りませんが、磨くための紙ヤスリは付属していないので、別途用意する必要があります。
アンテナをはれないときは、電源コードにアンテナを巻きつけると、アンテナ代わりになります。
実際に聞いてみると、1つのラジオ局だけ聞こえました。
材料を別途用意すれば、さらに鉱石ラジオへとバージョンアップ出来ます。
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角はヤスリで丸くしておきました。 |
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別に用意した紙ヤスリ |
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電源コードに、アンテナを巻きつけるとアンテナになります。 |
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材料を用意すれば、
さらに鉱石ラジオへバージョンアップも出来ます。 |
折角、スパイダーコイルを作ったので、コイルのQ値を知りたかったのですが、残念ながら、Qメーターは持っていません。
今回は、諦めることにしました。
ちなみにQ値(Quality factor)とは、振動の状態を表す値です。
Q値と言ったり、Qと言ったりします。
比のように、単位がありません(無次元)。
電波、車の振動、住宅の熱の吸収、音声ソフトなど、振動を扱う際、振動の品質を表す時に利用されます。
そのため、Q値の意味が、人によって微妙に違います。
「ゲルマニウムラジオ回路のQ値」
Q値が大きいと言ったら、混信しないで一つのラジオ局が良く聞こえる意味になり、Q値が小さいと言ったら、混信しやすい意味になります。
「コイルのQ値」
ある周波数をかけた際、
Q値が大きいと言ったらコイルとしての品質が良い意味になり、小さいと言ったらコイルとしての品質が悪い意味になります。
「コンデンサのQ値」
ある周波数をかけた際、Q値が大きいと言ったら、コンデンサしての品質が良い意味になり、小さいと言ったらコンデンサしての品質が悪い意味になります。
電子回路の世界では、Q値が大きいほど良く、小さいほど悪いです。
「住宅の世界」
Q値は熱損失係数を意味し、Q値が大きいほど断熱性が低く、Q値が小さいほど断熱性が高い意味になります。
住宅の世界では、Q値が大きいほど悪く、小さいほど良いです。
「音声ソフト」
音声の帯域を調整するパラメーターとして出てきたりします。
ソフトにより違いますが、Q値が大きいと広い帯域にエフェクトがかかり、Q値が小さいと狭い帯域にエフェクトがかかります。
使う場所により、Q値の意味が全く変わるので、注意してください。
(2020年6月26日(金)作成) |