電子工作をやっていると、雑誌などに、
「入力インピーダンス とか、 出力インピーダンス」
と言った、言葉を目にする事があります。
さらにオーディオの話の中に、
「出力インピーダンスは低いほど、入力インピーダンスは高いほど良い」 や
「ロー出し、ハイ受け」
などと、書かれています。
身近なものでは、昔のテレビについていた、同軸ケーブルのアンテナコードに75Ω特性インピーダンスと、書いてあります。
でも、よく読むと、特性インピーダンスと、特性がついています。
ここでは、同軸ケーブルなどの特性インピーダンスでなく、ただのインピーダンスのお話しです。
インピーダンスって、何でしょうか?
インピーダンスは、「電気回路が持っている、直流、交流に対する電気抵抗の和」のことです。
抵抗なので、単位はオーム(Ω)です。
式で書くと、次のようになります。
インピーダンス【Ω】 = 直流に対する抵抗分【Ω】 + 交流に対する抵抗分【Ω】
さらに分かり易く書くと、
インピーダンス【Ω】 = 抵抗【Ω】 + コイルの抵抗(誘導性リアクタンスと言う)【Ω】 + コンデンサの抵抗(容量性リアクタンスと言う)【Ω】
のことです。
「電子工作では乾電池を使うから、交流なんて関係ないもん!」と思いたくなります。
しかし、これがそうでもないんですね。
交流と言うと、ご家庭のコンセントのように、0Vを中心に、いったりきたりするサイン波のように思われます。
図 1 交流
しかしそれだけはないのです。
特に、音楽では。
ご存知、音は波です。
しかも、0Vを中心にいったりきたりしないで、0Vの上側で、いったりきたりしています。
脈流といわれています。
図 2 脈流
脈流は、直流の成分と、交流の成分があわさったものです。
音楽は脈流なので、これをコイルやコンデンサに入れると、交流の時の性質をしめします。
まさに、インピーダンスです。
なので、電子工作でも、交流は関係があります!
前置きが、とてもながくなりましたが、今までの基礎知識を元に、入力インピーダンスについて、見て見ます。
インピーダンスと言うことは、流れる電流が直流だけで無いことが前提です。
初歩の電子工作では、インピーダンスと言う言葉がでたら、0V以上で、波うっている、脈流と思って下さい。
普通、マイクから取り込んだ波うっている電流は、音が小さいので、アンプなどに取り込んで大きくしてから、スピーカーに伝えます。
マイクからの音の電流(脈流)を、
アンプ(IC、スピーカー、オペアンプ、トランジスタ、LEDなどの半導体)に、
信号を伝達しますが、アンプ自身も抵抗をもっています。
この伝達される側の抵抗のことを、入力インピーダンスと言います。
平たく言えば、信号をキャッチするアンプが、初めからもっている抵抗のことです。
入力インピーダンス(抵抗)が小さいと、電流が沢山流れます。
沢山電流が流れると言う事は、作動するのにエネルギーが大きい (= 電圧降下が大きい) ということです。
もしも微弱な信号(電圧の振幅が小さい)を読み取る場合、作動するエネルギーが大きかったら、アンプでエネルギーをほとんどつかってしまい(=電圧降下をおこす)、他の回路に十分なエネルギー(電圧)をまわすことができません。
ただでさえ電圧の振幅が小さい微弱な信号は、さらに振幅が小さくなり、読み取ることができなくなってしまいます。
微弱な信号源に、大きなスピーカーをつけても音をならすことができないのは、大きなスピーカーがエネルギーを使ってしまう (= 電圧降下が起きている) からです。
一方、入力インピーダンス(抵抗)が大きいと、電流があまり流れません。
電流があまり流れないと言う事は、半導体が作動するのにエネルギーが少なくてすむ (= 電圧降下が小さい) ということです。
作動エネルギーが少ないと、他の回路へエネルギー(電圧)を、振り分けることが出来きます。
以上の理由により、
入力インピーダンスは高いほど良い ということになります。
出力インピーダンスとはなんでしょうか?
マイクのように、信号を発信する側が、もともともっている内部抵抗です。
では、出力インピーダンスは、低いほど良い理由はなぜでしょうか?
マイクの出力インピーダンス(内部抵抗)が大きいと、自分自身でエネルギー(電圧)を使ってしまい、小さな音しか出せません。
すると、アンプなどの入力先へ、十分な電圧を供給することができません。
もしも出力インピーダンス(内部抵抗)が小さかったら、電圧降下が起きにくくなるので、アンプへエネルギー(電圧)を供給できます。
出力インピーダンスは小さい程良いことになります。
参考までに、インピーダンス整合という言葉があります。
これは、出力側と入力側の、電圧と電流を同じにすることです。
例えば、
「マイクの電圧と電流(出力側)」 = 「アンプの電圧と電流(入力側)」
が同じなら、最高の状態で、音を伝達できます。
プロのスタジオ(オーディオ業務用機器)では、600オームの入出力が守られているそうです。
(600オームなのは、電話回線の名残だそうです。
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